> 不安感の原因と改善法

不安感の原因と改善法



ある日突然、何の理由もなく不安を感じたことがありますか?
誰でも体と心が疲れ切っていると、突然に不安が襲ってくる瞬間があるのではないでしょうか?。

当院には、しばしば「不安をどうにかしたいのですが、どうすればいいですか?」という質問が寄せられます。

誰しも胸がザワザワしたり、不安が襲ってくる瞬間は不快なものです。
ところで、不安には「必要な不安」と「不必要な不安」の2つの側面があることをご存知でしょうか?

必要な不安と不必要な不安

・必要な不安
一般的に、不安は何か良くないことを起こる前兆と感じることが多いです。
誰もが不安を感じることを避けたいと思うでしょう。

しかし、不安を感じることは本当に悪いことなのでしょうか?
実際、適切な不安を感じることは、悪いことではありません。

不安を感じずに行動することは、大きなリスクを冒すことになります。
もちろん、リスクを恐れて行動しないことも良くありませんが、リスクを最小限に抑えた行動を検討すべきです。

つまり、不安感は、自己保護のために必要なものと言えるのです。
これが「必要な不安」です。

・不必要な不安
一方で、自律神経の乱れや過剰な緊張により、不安を常に感じやすくなり、「不安障害」と診断される場合もあります。

これが「不必要な不安」です。
不必要な不安の原因としては、脳の一部である「扁桃体」が不安を信号として過剰に発信し、不安を持続的に感じることが考えられます。

ということは、扁桃体の過剰な活動を抑える方法を見つければ、不要な不安を和らげることができると言えるでしょう。

では、扁桃体の暴走を止めるにはどうすればよいのでしょうか?
脳のDLPFC(前頭前野皮質)という部位が、扁桃体の活動を制御します。

アメリカでは、DLPFCに磁気刺激を与える治療法が用いられています。
日本ではまだ普及されていない方法ですが、多くの人がこの治療法を受けて改善を報告しています。

当院では、磁気刺激装置は使用していませんが、同じ原理を活用してDLPFCにエネルギー療法を提供しています。

その結果、多くの患者さんが不安感を軽減し、回数を重ねるごとに不安を感じにくくなっている感想をいただいています。

要するに、扁桃体の過剰な活動が抑制されれば、不要な不安感も減少するのです。
不安症のメカニズムについてもう少し詳しく説明しますね。

当院を訪れる患者さんの共通の悩みとして、「不安」が挙げられますが、特に、未来に対する「予期不安」が多いです。

まだ何も起きていないのに、「もし○○が起きたらどうしよう」と常に心配し続ける人が多いのです。

動物も不安や悩みを感じてる?

ところで、動物と悩みにはある種の乖離があることに気付いたことはありますか?
動物はなぜ悩まないのでしょうか?
その答えについては後ほど説明します。

では、なぜ私たち人間は常に様々な不安を抱えているのでしょうか?
実は、動物と人間との違いは「時間」にあるのです。

動物は「現在、過去、未来」という時間的な概念がほとんど存在しません。
動物は無意識的で本能的に行動します。

動物にとって認識できるのは「今ここ」だけです。
過去の経験を元に未来を予測することはできません。

もちろん、過去の経験を基に、現在の状況に対応する本能的な反応はありますが、それは主に目の前の出来事に焦点を当てたものです。

したがって、動物は未来を感じないと言われています。
動物は、次のような問いに答えることができません。

「明日の予定は何か?」
「今年の目標は?」
「10年後の夢は?」

これらは未来を予測することに関する質問ですが、動物には答えられないのです。
一方、人間は未来を予測できるため、高度な文明を築くことができました。

しかし、同時に「予期不安」という悩みも生み出してしまいました。
まだ起こっていない出来事に対して、自己暗示をかけ、「○○が起きたらどうしよう」とネガティブな予測を立て、その予測に不安を感じることが予期不安です。

予測は未来に関するものですが、不安は「今ここ」に存在しているかのように感じられるのです。

具体的なケースを考えてみましょう。
例えば、あがり症で人前で話すことに抵抗がある人がいます。

会社で朝礼があると、朝礼の順番が回ってくる前に不安が大きくなります。
しかし、日常生活では人前で話す機会はほとんどありません。

実際には「今ここ」には何の危機も存在しないはずです。
この状態がまさに予期不安であり、まだ起きていない「想像の世界」に不安を抱えているのです。

このような状態は、自己暗示によるものであり、自分で恐れを作り上げ、それに苦しむ自作自演の恐怖と言えるでしょう。

では、未来に対する予期不安を減少させる方法は何でしょうか?
その答えは、「今ここ」に集中することです。
では、「今ここ」に集中するためにはどうすればよいでしょうか?

以下に、未来への予期不安を減少させるための5つのステップをご紹介します。

予期不安を減少させるための5つのステップ

ステップ1:
不安を客観的に評価する…
不安が頭に浮かんだら、まず自問自答します。
「これは今起きていることなのか?それともまだ起きていないことなのか?」不安を現実と未来とに区別することが重要です。

ステップ2:
「今」に意識を引き戻す…
不安が未来の出来事に関連している場合、自分に問いかけます。
「その不安を減らすために今できることは何か?」そして、現在に焦点を合わせるようにします。

ステップ3:
出来ること、出来ないことを分ける…
物事には、自分でコントロールできることとできないことがあります。
自分でできることがあれば、それに取り組みます。
できないことは、自分の課題とは分けて考えます。

ステップ4:
今、自分が出来ることに集中する…
自分のやるべきことが明確になったら、それに集中して実行します。
まずは行動に移すことが重要です。

ステップ5:
あとは運に任せる…
自分ができることを十分に実践したら、残りは運にゆだねます。
自分の努力が十分であると感じるまで行動したら、あとは運任せにしましょう。

これらが、不安を解消するための5つのステップです。

最初はスムーズに進まないかもしれませんが、繰り返し実践することで、これらの思考パターンが習慣化されます。
そして、習慣になれば、不安から素早く脱出できるようになります。

私自身もかつては、「予期不安の主」でしたが(笑)、今では不安を感じたら「成長のチャンス!」と受け止め、現在できることに意識を切り替えるようにしています。

すると、自然と不安から逃れ、現在に集中できるようになります。
ぜひ、あなたも予期不安から脱却する思考法を身につけてくださいね!

まとめ

・不安症の原因は「必要な不安」と「不必要な不安」に分けられます。
必要な不安は自己保護のために必要であり、不安を感じることは悪いことではありません。
しかし、不必要な不安は未来への予期不安に基づくものであり、現在のリアルな状況とは関係がありません。

・動物は未来を予測せず、無意識的に生きています。
一方、人間は未来を予測できるため、予期不安が生じます。
しかし、予期不安から抜け出すためには、「今ここ」に集中する思考法を身につけることが重要です。

・不安を解消するための5つのステップを実践することで、予期不安を減少させることができます。
最初は難しいかもしれませんが、繰り返し実践することで、不安から逃れ、現在に集中できるようになります。
自分の力を信じ、不安から解放される未来を切り拓いてください。

 

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